乱視に関するホットニュース

よく「医療は複雑である」といわれる。 その一翼を担うクスリも「複雑だ」といわれる。
確かに「人体」という数量化できない対象が根本にあり、もって「複雑」といえば、当たっている。 医療やクスリの経済行為そのものは、何ら他の経済行為と変らない。
複雑化しているのは、複雑にしたい人間や集団がいるからにほかならない。 官僚やある種の既得権益を持った集団である。
たとえば、病院で扱う寝具(ベッドやシーツなど)には「基準寝具」という厚生省で定めた基準があり、その基準にあった寝具を扱うと健康保険から医療費が貰える。 その基準寝具を扱う事業を始めるには、日本病院寝具協会に加入し、入会金を払い、消毒設備があることを示す「マル適マーク」をもらわなければならない。
寝具協会がマル適マークを拒否し続ければ、実質的には新規参入はできなくなる。 その寝具協会は厚生族への献金を通して存立を図る。

誰も腹は痛まない。 カネは健康保険という国民のフトコロから出ているからだ。
外資系の製薬会社は、つい数年前まで自社のクスリを日本の製薬会社を通して販売してもらっていた。 いろいろ理由はあるのだが、流通が拒否したからだ。
独禁法違反で係争中の、KダックとFフィルムの根本問題もそこにある。 クスリ本体にしても、欧米で認可されたクスリは日本では使えない。
阪神・淡路大震災時に、欧米の医師の診療行為はおろかクスリの援助まで断ったことは有名だ。 根本にあるのは「欧米人と日本人では人種が違う」という理由だ。
このため、欧米の製薬企業が日本でクスリを販売する際、日本でまた臨床試験を行わなければならなかった。 もっとも、かつて欧米間でも臨床試験をやり直さねばならなかった時期はあった。
補充的なデータのみの試験だ。 人種が違うといっても、同じ人間であり、ヒトには違いない。
人種差の違いというよりも、むしろ遺伝的な内因性、生活習慣などの外因性の違いに分けて考えるべき。 すると、人種差ではなく「個体差」となってくる。
アメリカで病気になって、アメリカのクスリだから嫌、と拒否する国粋主義者はいないだろう。 ここにきてクスリを取り巻く環境は激変している。
1つは、世界の医薬品市場の9割を占める、日本、アメリカ、ECが共同で「新薬の統一基準」作りを始めたことだ。 見せ物だ。

これによって製薬会社は、真の意味の開発力が問われることになる。 開発力がない会社は、吸収合併させることによって存続を図るしかない。
「世界で通用するクスリ」を持たない企業はひとたまりもない。 もう1つは川下が様変わりすることだ。
現在、ドラッグチェーンの出店商戦にはすさまじいものがある。 「Mキヨシを筆頭とするドラッグストア業界で、年々増加しているのが「郊外型」だ。
その出店形態は必然的に「ワンストップ・ショッピング」(1店で必要なものすべてを購入できる)にせざるを得ない。 ここで、大衆薬と生活用品が完全にドッキングする。
すると大衆薬の問題、すなわち中流も変わらざるを得なくなる。 「クスリ」。
「薬」と漢字ではなくカタカナで書くと、何やら怪しげな意味が付きまとってくる。 まさにその通りで、クスリの歴史は人類の歴史といってもよいほどだ。
古代から、クスリは楯薬、麻薬、不老長寿薬が渥然一体となったもので、近代医学となった今でも、人類のDNAにはそのイメージがインプットされているらしい。 部族の長や統治者(司祭)が、このクスリと祈祷を駆使していたことは間違いがない。
かつて統治者は一族の健康管理者でもあったのだ。 ここでいうクスリは、近代医学の意味するクスリであって、楯薬、麻薬(例外あり)、不老長寿薬の類ではない。
また、「クスリ」を逆さまからよんでほしい、そうクスリは危険と背中合わせなのだ。 また、ここで筆者のスタンスを鮮明にしておくと、クスリ不要論でもないし、自然治癒カー本論でもない。
クスリ不要論者の多くは、その副作用を全面的に押し出すが、当たり前のことで、クスリはそれで全面否定されるほど単純なものではない。 自然に転がっている草木でも副作用があるのは自明の理だからだ。

実際、漢方薬でなくても、医薬品は自然界に埋もれているモノを探し出して、開発することから始まる。 また、自然治癒力を全面的に打ち出す人、免疫力を云々する人も多い。
これで当たっている。 自然治癒力や免疫力が高ければ、それに越したことはない。
それだけではクスリを否定する根拠にはならない。 梅毒や肺炎に躍った人間を、「免疫力がないからだ」と片づけてしまうのもいかがなものか。
あのペニシリンは人類を救ったのだ、と素直に認めよう。 つけ加えると、この時世で「免疫力」を全面強調する人がいたら、健康食品(健康補助食品)の販売者かその御用学者と思ったほうがよい。
さて、クスリはまず二種類に分けられる。 1つは「医療用医薬品」、もう1つは「一般用医薬品」。
医療用医薬品は医療機関で患者に用いられるクスリ、一般用医薬品は薬局で売られているクスリだ。 薬局で売られているといっても、薬局だけではなく、あの富山のクスリ売りに見られるように行商人による「配置薬」も含まれる。
また、一般用医薬品は業界用語で「大衆薬」(市販薬ともいう)というので、以下「大衆薬」という言葉を使わせていただく。 医療用医薬品(以下、たんに医薬品と表記)は、ほとんどが「健康保険」が適用されており、公定価格となっている。
健康保険が適用されることを「薬価収載」、その価格の決定を「薬価基準」という。 ここで面倒でも「健康保険制度」について触れなければならない。

この健康保険制度には、産官学が仲良しクラブよろしくぶら下がっているからだ。 健康保険制度は、昭和36年(1961年)に完成した制度で、大別すると、自営業者が加入する「国民健康保険」とサラリーマンが加入する「被用者保険」(会社の健康保険)がある。
健康保険制度は、日頃から病気のために備みて医療費を蓄みておく制度。 病気になったら、そこから医療費を支払う仕組みだ。
ただ何でもそこから医療費を支払うと底をついてしまうので基準がある。 たとえば、難病に効く画期的な新薬が世に出たとする。
患者が数人しかいなければ、薬価収載とはならない。 数人の患者のために保険を適用すると、その他の被保険者が損をするからだ。
それでも必要とされる稀少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)は、助成金や税制優遇などの措置が講じられている。 やはりメーカーは開発したがらない。
医療機械にも当てはまる。 体外衝撃波結石破砕装置(超音波で砕く)という手術なしの無痛で結石を砕く機械がある。
この装置が導入されたのは、1985年頃。 当初は健康保険の適用外だったから、患者がこの機械を使うと100万円ぐらいとられた。
だいたい50病院ぐらいに普及した92年にようやく健康保険の適用が認められたのである(病院には20万円入る)。 健康保険適用後は、それこそ鰻登りに増加し、今や数百の病院に設置されている。

話はそれたが、健康保険が適用されると、クスリの売上げが倍増する。 たとえば、胃漬傷を手術なしにした抗潰傷薬「Tメット」を発売した「S社」は、それだけで世界一の製薬会社になってしまった。
クスリ業界では、新しく出るクスリを「新薬」というが、この新薬は薬価収載済承のクスリのことだ。

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